スポーツの普及に伴って事故、傷害の発生も増加している。外傷の多くが歯、あご、唇、舌の外傷であり、スポーツ傷害の50%が口の周辺で生じているという報告もある。そうした傷害を防ぐ具体的対策として注目されるのがマウスガード。青少年のスポーツ活動にも、少しずつ導入されているマウスガードについて、県歯科医師会会員の若林秀典、細井雅晃両氏に聞いた。
●口周辺の傷害防ぐ
マウスガードをご存じですか。よく目にする代表的なものはボクシングの選手が口にはめ込むマウスピース(マウスプロテクター)です。現在、これを義務付けているスポーツはボクシング、空手、アメリカンフットボールなどですが、今後、義務付けられる種目が増えることが予想されます。
マウスガードは柔軟性のある弾性材料で各自の歯並びに完全にフィットするように歯を覆い、歯が折れたり、あごの骨折を予防するだけでなく、頭(脳)や首(頚椎(けいつい))へのダメージを軽減し、また、歯による唇、舌、ほおの裂傷を防止するものです。
●お薦めは適合性のよいカスタムメイド
さらに、装着することによって、歯をくいしばれることから、運動能力がアップし、良い成績が得られるとも言われています。最近では、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療に条件つき(鼻呼吸ができて、十八歳以上で歯が二十本以上等)ではありますが効果があると報告されています。
マウスガードは柔軟性のある素材で作られていて、いくつかのタイプがあります。ひとつにはスポーツショップで市販されている既製品で、お湯で軟化して咬(か)みこんで使用します。安価で素人にでもできますが口唇やほお粘膜、舌へのフィット感は今ひとつで呼吸がしにくいなど問題点もあります。
これに対し、より精密で違和感のないのはカスタムメイドと呼ばれるタイプです。これは歯科医院で個人の口の中の型をとり、大きさや厚さ、咬み合わせ等を考慮して作ります。保険適用外のために金額は高くなってしまう欠点があります。また、子供はあごの成長や歯の萌出の状態によって合わなくなるのでその都度、作り替えることになります。
プロのスポーツ選手の使用で一般の人の目にも触れるようになりましたが、普及率はまだ低いのが実情です。口のまわりへの外傷を未然に防ぐという意識を指導者や選手が持ち、適合性のよいカスタムメイドのマウスガードの装着率を上げることが望まれます。