乳歯から取り出した幹細胞で骨や神経などを作り出す再生医療や
細胞治療の研究に役立てようと、名古屋大の上田実数授らの
研究グループは6日、同大内に「乳歯幹細胞研究バンク」を
開設したと発表した。
大学などの公共設備を使ったバンクは世界初という。
数年間で1万本程度の乳歯を集め、幹細胞の基礎データを集積する。
研究グループによると、乳歯幹細胞は骨や神経、軟骨に
分化することが確認されており、将来的には骨粗しょう症による
骨折の治療やひざの軟骨欠損、皮膚のケロイド治療などに
活用されることが期待されている。
幹細胞は骨髄や臍帯血にもあるが、乳歯は幹細胞密度が非常に高く、
短期間で増殖する上、自然に脱落するので採取に伴う患者の負担が
少ないという利点がある。
また、万能細胞である胚性幹(ES)細胞のような生命倫理上の問題もない。
研究バンクでは、名古屋大医学部付属病院を含めた
東海地方の6病院から乳歯や親知らずの提供を受け、
幹細胞の採取や培養、超低温保存を行う。
将来的には提供者本人だけでなく、近親者の幹細胞を使った
再生医療への応用可能性もあるという。
研究グループはすでに、犬の歯から取り出した幹細胞を使って
あごの骨を再生する実験にも成功しており、動物実験で
さらに安定的な結果が得られれば今後、厚生労働省の審査を経て、
人の細胞を使った臨床実験に踏み切りたいとしている。
上田教授は「これまで医療廃棄物として捨てていたものが
非常に有効に活用できることを知ってもらいたい。
孫の乳歯で祖父母の骨を治療することが可能になるかもしれない」
と話している。