日本大学歯学部の本田雅規氏らのグループは、
培養した「マラッセの上皮遺残細胞」を用いた
エナメル質の再生に成功した。
これまでにも同細胞を培養した研究はあったが、
エナメル質の再生能力を明らかにしたのは世界初。
同研究は7月にカナダ・トロントで開かれた
国際歯科研究会(IADR)で発表した。
「マラッセの上皮遺残細胞」は歯根膜中にあり、
歯由来の上皮細胞の中では、歯が萌出した後に
唯一生体に存在する。
歯の再生は、上皮則胞と間葉細胞の異なる
2種類の細胞を要することが、
骨や軟骨などと比べて再生医療の実現が
難しい理由となっている。
特に、本来エナメル質を作る歯胚上皮細胞は、
歯が萌出した後に役目を終えて消失してしまう。
そのため、エナメル質を作るための歯の細胞を生体から探すことが、
歯の再生医療を成功に導く上で鍵となっている。
本田氏らは昨年、培養歯胚上皮細胞から
エナメル質を再生させることに世界で初めて成功しており、
同手法を向いてマラッセの上皮遺残細胞の培養を試みた。
ブタの乳歯歯根の歯周組織からマラッセの上皮遺残細胞を取り出し、
フィーダー細胞と共に培養することで細胞を増殖。
培養マラッセ上皮細胞を歯髄細胞と共に培地に播いて移植し、
8週間後にエナメル質の再生を確認。培養マラッセ上皮細胞が、
歯の再生の新しい細胞源になることが示唆された。
しかし、再生した歯の形態は天然のものと異なり、
同手法により再生した歯を臨床に応用するためには設題も残る。