モンゴル健康科学大学内に同国初の「障害者歯科診療室」を開くため、
徳島大学名誉教授の西野瑞穂さん(68)が呼び掛けていた寄付募集に
県内外から約320万円が寄せられ、7月には診療室が完成。
診療開始に向け、歯科医らが研修を重ねた。
これを機に同国では、障害者歯科を全国に広げる動きも出ている。
健康科学大の客員教授だった西野さんは、
歯学部から診療室開設への協力を求められ、
昨年11月から学生時代の同窓生や徳島大の教え子に協力を要請。
2月末までに、県民108人を含む340人から
目標額の300万円を上回る寄付が集まった。
県内の障害児を持つ父母や障害者からの寄付も多かったという。
西野さんは、寄付金で血液中の酸素濃度や脈拍を測る機器
などを購入して4月に大学へ送った。
歯学部は、一般の歯科診療室の一室を改装して障害者診療室を整備。
7月10日に徳島大の青野敏博学長や西野さんらを招いて開所式を行った。
7月下旬には西野さんや徳島大の教員ら6人が現地を訪れ、
診療を担当する歯科医と看護師に障害者治療の特徴や
機器の使い方を指導した。
今月中旬には歯科医を県内に招いて最後の研修を行う予定で、
こうした研修にも寄付金を充てる。
西野さんによると、障害者の歯科診療では患者が治療を理解できずに
暴れたり、不自由な体を無理に伸ばして死亡したりする危険性がある。
時間をかけて恐怖心を取り除く気配りや、患者に合わせた態勢で
治療する知識と機材が必要になる。
診療室開設を受けてモンゴルでは、9月に全国の歯科医が
障害者歯科診療について話し合う初めての会合が開かれ、
西野さんも障害の種類に合わせた診療や医療機関の連携について講演した。
健康科学大では、障害者歯科の講義が始まった。
西野さんは「多くの温かい寄付で診療室ができて感謝している。
モンゴルに出た障害者歯科の芽を大木に育てられるよう、
今後も指導に尽力したい」と意欲的に話した。