タイに生息し、人の髪の毛を使って歯に詰まった食べ物のかすを取り除く
「歯磨き行動」をする野生のカニクイザルの中に、
子ザルが見ていると特に大げさに歯磨き行動を行う母ザルがいることを、
京都大学霊長類研究所の正高信男教授(霊長類行動学)の
研究チームが突き止めた。
子供に関心を向けさせ、歯磨きを教える「しつけ」とも考えられるといい、
こうした行動が人間以外で確認されたのは初めて。
研究成果が11日発行の米科学誌「プロスワン」に掲載された。
歯磨き行動をするのは、バンコクの北東約140キロの
ロブリーに生息するカニクイザル。
約250頭の群れの中で約100頭が、デンタルフロスのように
ヒトの髪の毛を使って歯の間に詰まった食べ物かすを取り除く。
カニクイザルは東南アジアに生息しているが、
歯磨き行動が確認されているのはロブリーの一群だけ。
10年ほど前から見られるようになったという。
サルは街中で暮らしており、人と接する中で学んだ行動と考えられている。
研究チームは、1歳の子を持つ7頭のメスザルに注目。
カツラの毛を与えて、周囲に子供がいる場合といない場合について
ビデオ撮影して詳しく分析した。
その結果、子供が見ている場合は、髪の毛を両手に取って
口に入れた後、歯を上下させる一連の動作(スナッピング)を
頻繁に繰り返すことが判明。
回数は見ていない場合の約2倍で、動作自体が大げさになっているという。
母ザルは自分の行動を変えることで、子ザルが歯磨きを
習得しやすいようにしているとみられる。
正高教授は「人間以外の動物は、教育をしないというのが常識だが、
今回の実験で、教えることの芽生えがサルにもみられたと考えることができる。
教育の起源を解明することにもつながる」としている。